現在、 日本の木造建築の多くには輸入材が使用されており、
国産材の使用は減少して、 森林の放置につながっています。
逆に、 海外では市場優先した森林の違法伐採や過剰採取、
森林火災など様々な森林問題が起こっています。
1964年の日本における木材輸入の自由化以降、
当時80%近かった木材自給率は2002年には約20%にまで減少しており、
その後 2016年には自給率35%近くまで回復していますが、約3分の2は輸入材を使用しているのが現状です。
CLTは1995年頃からオーストリアを中心に発展した木質系材料です。
この循環型資材を使用した省CO₂型の建築物はヨーロッパ各国で普及し、
近年では高層建築にも利用されるなど、CLT需要は急速に拡大しつつあります。
日本では2013年にJAS(日本農林規格)が制定され、
2016年にCLT関連の建築基準法の施行を機に一般利用が開始されました。
CLT材の活用により、森林資源の循環利用を高め、
国内外の森林環境を改善して持続可能な社会作りを目指します。
日本で使用されている木材の
70%は輸入木材
国産木の使用が減ることでの
林業の衰退・森林の荒廃
荒廃した森林は土壌が悪化、
森林の病害の発生や
大雨などによる土砂災害の増加
CLT材の活用により日本の森を循環させて生き返らせる、
省CO2型建築物「CLT CELL UNIT」の開発は、
地球環境問題の解決の1つとなり、森のために、そして人のために役立ちます。
私はこれまで大工職人として多くの住宅を建てて参りました。
ある時、 使用される木材の70%が輸入材であることを知り、日本の林業や世界の森林について思いを馳せるようになりました。
日本に送るために海外の森林は破壊される一方、国内では国産材の使用が減り、林業者は減少の一途を辿りました。
日本の森林は荒廃して、 森林災害や病害が発生するなど、多くの森にまつわる問題の原点であることが見えてきました。
そこで、一企業として社会的使命を果たさねばならないとの思いに駆られました。
その頃、 私は欧州で生まれた木質系材料CLTと出会いました。
CLTは元来、 災害時に倒木した廃木材の有効利用のために開発された素材で、森林再生につながる 高機能性の循環型資材です。
住宅への利用を模索しましたが、 地震の多い日本では多くの障壁が存在します。
国産木材を使用したCLTにより、 容易に家を建てることが可能となれば、
林業者や森林の諸問題に対して有効な解決方法となり得るのではないか、との思いからCLT CELL UNITの開発に取り組んだのです。
日本の大工技術を応用してCLT板を木材のみで接合して、箱型を形づくり、
建築物の躯体として機能できるようにユニット化を進めて参りました。
100体以上の実験を行い、耐震等級3を超える強度を実証し、特許取得も実現しました。
現在、京都大学生存圏研究所の五十田博教授との共同研究開発を進めております。
やっとスタート地点に立ったという心境です。
CLT CELL UNITは、未来へ森をつなげるための新しい建築工法です。
現在、共に闘って頂ける仲間や、応援頂ける方々を募っております。
SAIグループホールディングス 代表
惠美須 健也