COLUMN

コラム

CLT補助金・助成金を活用しよう!
主な制度の概要を紹介

CLTは、森林再生につながる機能性に優れた循環型資材です。中大規模の建築物にCLTを活用することで、地球環境の保全はもちろん、木材の新たな需要や新しい産業分野の創出が期待されるため、さらなるの普及促進に向けて、日本政府も補助金や助成金による支援を行っています。
そこで今回は、CLT補助金・助成金にはどのようなものがあるのか、主な制度や概要を紹介します。

CLTは政府の補助金対象

CLTは1995年頃からオーストリアを中心に発展した建材で、ひき板(ラミナ)を並べ、 繊維方向が直交するように積層接着して作られています。
CLTはもともと災害時に倒木した廃木材の有効利用のために開発された建材で、従来であれば建材になりにくい太さの足りない木材、節の多い木材なども建材として活用することができます。

CLTは、政府の補助金対象となるサステナブル資材です。
農林水産省林野庁、国土交通省、環境省などが中心となって、補助金・助成金制度などの支援事業を行うほか、内閣官房に政府の「一元窓口」があります。
ほかにも、CLTを活用した建設物を建てる際は、文部科学省が行う学校関係の施設整備費の補助、厚生労働省が行っている保育所や介護施設の整備費を補助など、さまざまな支援制度を活用することができます。

【令和4年(2022年)最新版】主なCLT補助金・助成金制度

ここでは、令和4年(2022年)9月時点で公募中の補助金・助成金制度を中心に、今後実施予定のCLT支援事業についても紹介します。
※各補助金・助成金制度の詳細は、内閣官房ホームページ、対象省庁のホームページ等でご確認ください。

CLT活用建築物等実証事業(林野庁)

林野庁補助事業では、CLT活用建築物等実証事業について、以下のような公募が行われています。

公募する事業内容

CLT を活用した建築物の設計・建築又は部材の性能の実証
街づくり(隣接・近接箇所に複数のCLT 建築物等を設計・建築)の実証
CLT 製造企業との連携構築のためのモデル的な取組(CLT の低コストな安定供給に向けた実証)
CLT 建築物等の設計・建築へのBIM 活用を促進するため、BIM を活用した実証等

応募資格

建築主等と協議会運営者の連名
(「協議会」とは、提案する建築物等の建築に向けて、コスト縮減や普及といった課題の解決に取り組むために必要な関係者が集まる場のことを指します。)

補助の内容

建築費等の事業経費の3/10または1/2(上限)
実証事業進行における課題解決のために設置する協議会の運営費(定額)

事業の期間

助成金交付申請を木構振が承認した日から令和5年2月20日まで

出典:林野庁補助事業「令和4年度 CLT活用建築物等実証事業

サステナブル建築物等先導事業(国土交通省)

国土交通省では、サステナブル建築物等先導事業に対して以下のような支援を行っています。

公募する事業の種類(一般建築物)

建築物における木造化の推進に向けたモデル性、先導性が高いプロジェクトとして選定されたもの

木造先導事業の要件

木造先導事業は、次に掲げる要件の全てに適合するものであること

  1. 構造・防火面で先導的な設計・施工技術の導入されるもの
  2. 使用する材料や工法の工夫により整備コストを低減させるなどの、木材利用に関する建築生産システムについて先導性を有するもの
  3. 主要構造部に木材を一定以上使用するもの
  4. 建築基準上、構造・防耐火面の特段の措置を要する一定規模以上のもの
  5. 先導的な技術について、内容を検証し取りまとめて公表するもの
  6. 建築物及びその情報が、竣工後に多数の者の目に触れると認められるもの
  7. 省エネ基準に適合するもの(公的主体が事業者の場合は、ZEH・ZEBの要件を満たすもの)

公募期間

III期 令和4年11月下旬頃~令和5年1月頃
※I期・II期は公募期間終了

対象事業者

上記の要件を満たす事業を行う者(民間事業者、地方公共団体等)

補助額

【調査設計計画費】
先導的な木造化に関する費用の1/2以内
【建設工事費】
木造化による掛増し費用の1/2以内(ただし算出が困難な場合は建設工事費の15%)
【技術の検証費】
木造化に寄与する先導的な技術の効果の検証に関する費用の1/2以内
【付帯事務費(人件費、旅費、一般管理費等】
上記【調査設計計画費】と【建設工事費】の補助額の2.2%以内


出典:一般社団法人 木を活かす建築推進協議会「サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)
   内閣府「サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)

優良木造建築物等整備推進事業(国土交通省)

国土交通省では「優良木造建築物等整備推進事業」として、以下のような支援を予定しています。

優良木造建築物等整備推進事業(新規)

カーボンニュートラルの実現に向け、炭素貯蔵効果が期待できる木造の中高層住宅・非住宅建築物について、優良なプロジェクトに対して支援を行う。

要件

主要構造部に木材を一定以上使用する木造の建築物等(木造と他の構造との併用を含む)
耐火構造又は準耐火構造とすることが求められるもの
不特定の者の利用又は特定多数の者の利用に供するもの(劇場、病院、ホテル、共同住宅、学校、児童福祉施設、美術館、百貨店、 商業施設、展示場、事務所等)
多数の利用者等に対する木造建築物等の普及啓発に関する取組がなされるもの
省エネ基準に適合するもの(公的主体が事業者の場合は、ZEH・ZEBの要件を満たすもの)

対象事業者

民間事業者等

補助額

調査設計計画費のうち木造化に係る費用
建設工事費のうち木造化による掛かり増し費用相当額
【補助率・上限額※】 1/3(上限300百万円)
※実際の運用において変更になる場合がある。

補助額

【調査設計計画費】
先導的な木造化に関する費用の1/2以内
【建設工事費】
木造化による掛増し費用の1/2以内(ただし算出が困難な場合は建設工事費の15%)
【技術の検証費】
木造化に寄与する先導的な技術の効果の検証に関する費用の1/2以内
【付帯事務費(人件費、旅費、一般管理費等】
上記【調査設計計画費】と【建設工事費】の補助額の2.2%以内


出典:内閣府「優良木造建築物等整備推進事業(新規)

戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)化等支援事業
(環境省・経済産業省・国土交通省)

ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)とは、高効率な設備・システムの導入により、1年間で消費するエネルギーの量を実質的にゼロにすることを目的に建てられる家のことです。
環境省・経済産業省・国土交通省が連携し、戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)化等支援事業として以下のような支援を行っています。

事業目的

エネルギーの自給自足により災害にも強く、ヒートショック対策にもなるZEH (ゼッチ)の更なる普及、高断熱化の推進
現行の省エネ基準に適合しない既存住宅の断熱性能向上による省CO2化
2030年までに新築住宅の平均でZEHを実現。2030年度の家庭部門からのCO2排出量約7割削減(2013年度比)に貢献
2050年のカーボンニュートラル達成に向けて脱炭素社会の推進

事業内容

戸建住宅の高断熱化による省エネ・省CO2化を支援するため、以下の補助を行う。

戸建住宅(注文・建売)において、ZEH※の交付要件を満たす住宅を新築する者に対する定補助:55万円/戸
ZEH以上の省エネ、設備の効率的運用等により再エネの自家消費率拡大を目指した戸建住宅(ZEH+)に対する定額補助:100万円/戸
上記に系統連系対応型蓄電池を設置、低炭素化に資する素材(CLT(直交集成板)等)を一定量以上使用、又は先進的再エネ熱利用技術を活用する場合に別途補助:蓄電池2万円/kWh(上限額20万円/台)等
既存戸建住宅の断熱リフォームに対し1/3補助(上限120万円/戸。蓄電池、電気ヒートポンプ式給湯機への別途補助)

事業スキーム

■事業形態 間接補助事業
■補助対象 民間事業者等
■実施期間 令和3年度~令和7年度


出典:一般社団法人 環境共創イニシアチブ「令和4年度 環境省によるZEH補助金
   環境省「戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)化等支援事業(経済産業省・国土交通省連携事業)

CLTは政府が推奨するサステナブル資材!
補助金・助成金を活用しよう

新たな木造建築材として注目されるCLTは、環境に優しいサステナブル資材として日本政府も普及を促進し、各省庁や自治体が補助金・助成金制度などの支援をしています。
近年は日本の木材受給率は回復傾向にありますが、現在も60割以上が海外から輸入されているという現状があります。
CLTの活用は、森林資源の循環利用を高め、国内外の森林環境を改善し、持続可能な社会作りに貢献できます。
また、補助金や助成金を活用することで、建築コストも大幅に抑えることができるでしょう。
これを機会に、ぜひサステナブル資材CLTを建築に取り入れてみてはいかがでしょうか。