集成材とは、「木材を集めて張り合わせたもの」です。しかし、具体的な種類や特徴、他の建材と比べて何が違うかなどは、よく分からないという人もいるかもしれません。
この記事では、集成材とは何か、集成材の種類や特徴、メリット・デメリットを分かりやすく解説します。
集成材とは、原料となる丸太から2~4cmに切り出されたラミナ(引き板)や小角材を繊維の方向が同じになるように重ね、接着剤で張り合わせて作られた建材です。
節や欠けのある部分は取り除かれたあとに接着されるため、集成材は質の良い部分だけを集めて作られた木材だと言えます。
建材には、集成材の他に合板や無垢材、CLT材などの種類があります。 まずは、集成材と他の建材の違いについて説明します。
合板は、ベニヤと呼ばれる「単板」を奇数枚張り合わせた板です。
単板(たんばん)とは、原木を0.2〜6mm前後に薄く切り削ったもので、1枚で構成されています。
単板を繊維方向が同じになるように重ね、接着剤で奇数枚張り合わせた板が合板です。
単板がベニヤと呼ばれていることから、「ベニヤ板」と呼ばれることもあります。
集成材はパネル板と呼ばれる板状のものや柱などに使われる角材がありますが、合板に角材はありません。
無垢材とは、天然木から取り出した木を1枚の板に加工した天然素材です。
集成材は複数の木材を接着剤で張り合わせて作られていますが、無垢材は人工的な加工は施されていません。
そのため、木の種類や個体差によって見た目や特徴が変わります。
CLT材は、原料となる丸太から2~4cmに切り出されたラミナ(引き板)を繊維の方向が直交するように積層接着した木材です。
集成材もCLT材と同じようにラミナが使われていますが、CLT材と集成材では、重ねるときの繊維の方向が違います。
集成材には、家の柱や梁などの構造に使われる構造用集成材と、内装や家具に使われる造作用集成材の2種類があります。
構造用集成材は、建物の柱や梁などに使われているため、強度が強く、湿度などによって寸分が狂いにくいという特徴があります。
表面に化粧薄板を貼り付けた構造用集成柱は、在来軸組工法住宅の柱材としてよく使われています。
造作用集成材は、無垢材の良さを生かしつつ、本来の無垢材よりも強度に優れているという特徴があります。
木材の美しさを生かしたまま加工されるため、階段、壁面、カウンター、家具、敷居、鴨居など幅広く使われています。
集成材は、質の良い木材だけを選別して加工されているため、以下のようなメリットがあります。
日本の家は昔から木材が多く使われてきましたが、昔は今のような加工技術がなかったため、木造住宅では丸太を切り出した無垢材が使われることが一般的でした。
しかし、自然の中で育った木は1本1本が別の個体であるため、強度、見た目、品質にばらつきがあります。
集成材は節や欠けのある部分は取り除かれるなど、加工する木材を選別して加工されているため、強度や見た目などにばらつきが少ないというメリットがあります。
集成材は木材を接着して作られるため、天然素材である無垢材では実現できない厚みを出すことができます。
無垢材は天然の丸太から切り出すため、1本の木から切りだせる数には限りがあります。
しかし、集成材は木材を張り合わせて加工されているため、多くの木材を作ることが可能です。
無垢材よりも手ごろな値段で木材の風合いが楽しめる点も、集成材の大きなメリットです。
集成材の寿命は50~70年以上の耐久性があると言われています。
とはいえ、集成材は作られるようになってからまだあまり年数が経過しておらず、具体的な数十年単位の実績データは少ない状況です。
そのため、集成材を使った建物の耐久性には未知数な部分があります。
集成材は接着剤を利用して接着されるため、接着剤に含まれる有害物質によるシックハウス症候群を懸念する声があります。
シックハウス症候群とは、住宅の高気密化・高断熱化などが進んだことから、建材等から発生する化学物質などが原因によって体に支障が出てしまう症状のことです。
ただし、接着剤に関するリスクは、2003年に改正された建築基準法が施行されたことで、現在は安全基準が設けられ、厳格に管理されています。
集成材は、素材のばらつきが少ない、値段が手ごろであるなどのメリットがあり、木造住宅でよく使われています。
昔に比べると鉄骨造や鉄筋コンクリート造の建物が増えてきましたが、最近では木のぬくもりが感じられる木造の建築物にも再び人気が集まってきています。
木造建築物の構造体として注目され始めているのが、CLT材です。
CLT材は循環型資源なので、自然環境の改善、持続可能な社会づくりなどの観点からメリットが大きいことから、政府でもCLT材利用の推進を行っています。
CLT材は、集成材同様にラミナ(引き板)を利用して作られていますが、繊維を平行方向ではなく直交させているため、集成材よりも強度が高いという特徴があります。
そのため、ヨーロッパではCLT工法が数多く採用されており、CLTを利用した木造の中規模ビルが増加しています。ヨーロッパ程は広がっていませんが、CLT工法は新しい建築工法として日本においても注目され始めてきています。
木造の建築物には集成材よりも高強度で、環境に優しいCLT材を活用してみてはいかがでしょうか。